白内障セルフチェック

「超高齢社会」の日本。

65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。

日本では、1970年に「高齢化社会」、1994年に「高齢社会」、2007年に「超高齢社会」へ突入しました。

平均寿命も長く、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳で、いずれも過去最高を更新しました。

世界の平均寿命と比較すると、日本は女性が世界1位、男性は2位だそうです。

日本は世界を代表する長寿国と言えるでしょう。

高齢者が増えると、相対的に増えるのが白内障という眼の病気です。

白内障は60歳代で60%以上、70歳代で80%以上、80歳を超えると100%の方が罹患しています。

白内障はとても身近な病気なのです。

 

とても身近な病気なのですが、病気の進行が比較的緩徐であることから、自身が白内障であることに気づいていないケースがあります。

「なんか最近、眼の調子がおかしいな…」。

その症状は、白内障が原因かもしれません。

 

そこで今回は、眼科へ久しく行っていない方に向け、白内障セルフチェックを作成しました。

ご自身に該当するものがないかチェックしてみてください。

  • 視界が霞んで見える
  • TVの字幕がぼやけて見えるようになった
  • 月が二重に見える
  • 眼鏡をかけても自動車免許の更新ができなくなった
  • 最近、作り直した眼鏡の度が合わなくなった
  • 長時間の読書が疲れる
  • 活字を読むことを避けがち
  • 老眼が治った気がする
  • 光に対する眩しさを強く感じる
  • 糖尿病の持病がある
  • ステロイド薬の使用・服用をしている

具体的にみていきましょう。

 

視界が霞んで見える

「視界が霞んで見える」という症状は、白内障の代表的な症状です。

白内障はその名の通り、眼の中のレンズを担う水晶体が混濁する病気なので、「霞んで見える」ことは想像がつきやすいと思います。

濁ったすりガラス越しに見るようなイメージで、ものが霞んで見えるようになります。

加齢性白内障のなかで最も多い、皮質白内障に多くみられる症状です。

白内障の分類についてはこちらのページをご覧ください。

 

TVの字幕がぼやけて見えるようになった

TVの字幕が見にくくなるといった症状も良く聞かれます。

身近なものほど見え方の変化を感じやすいですよね。

字幕が二重、三重に見えると表現される方もいます。

二重、三重に見える原因は、白内障だけと限られませんが、以前はしっかり1つに見えていたのに、最近二重に見え始め、片眼を隠しても二重、三重に見えるなら、白内障の可能性があります。

水晶体の混濁により異常な屈折を起こすことで、網膜に複数の像を結像させるために生じます。

物が二重に見えることを複視と言い、片眼で見ても複視を感じることを単眼複視、両眼で見て複視を感じることを両眼複視と言います。

 

月が二重に見える

TVの字幕が室内で感じる複視なら、月が二重に見えるのは屋外で感じる複視の代表的なものです。

こちらも、以前はしっかり1つに見えていたのに、片眼を隠しても二重、三重に見えるなら、白内障の可能性があります。

夜空を見上げた時に「あれ、おかしいな」と感じる方が多いようです。

昔の人も月を見ながら同じようなことを考えていたのでしょうか?

 

眼鏡をかけても自動車免許の更新ができなくなった

普通自動車免許の場合、両眼での視力が(0.7)以上必要になります。

眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態で検査可能ですが、白内障が進むと眼鏡をかけても(0.7)未満になってしまうことがあります。

自動車免許は定期的に更新が必要ですので、更新のタイミングで白内障の進行に気づくケースです。

 

最近、作り直した眼鏡の度が合わなくなった

白内障が進むと、眼鏡を作り直しても満足な視力を得ることが難しくなります。

眼鏡屋さんに行って眼鏡を作り直したけど、しばらくしてまた度が合わなくなってきたなら、白内障を疑う必要があります。

一度、お近くの眼科で検査を受けることをお勧めします。

 

長時間の読書が疲れる

ものを見たり、読書したりする時は、眼の中の水晶体の厚みを変えることによりピント調節を行っています。

白内障により水晶体が混濁すると、水晶体の厚みを変化させることに抵抗がかかり、ピント調節がスムーズにできなくなります。

それでも水晶体の周りについている筋肉は、ピント調節しようと頑張って働こうとするため、眼が疲れやすくなります。

これは単純に「老眼」が原因のこともあるので、この症状だけで白内障と断定することはできません。

 

活字を読むことを避けがち

長時間の読書、つまり活字を読むことで眼精疲労を生じることから、活字を読むことを避けがちになります。

活字を読むと疲れることを身体が覚え、それを避けようとする訳ですね。

また、白内障により視力低下が生じている場合は、眼鏡をかけても小さい文字が読みづらく、活字を読むことを避けていることがあります。

 

老眼が治った気がする

これは、白内障の中でも水晶体の中心にある核が濁るタイプの「核白内障」に多い症状です。

水晶体の核が硬くなり、屈折の変化が起こることで一時的に近視化します。

これにより、手元が見やすくなり、「老眼が治った」と勘違いするケースがあります。

 

光に対する眩しさを強く感じる

白内障により水晶体が濁ると、眼の中へ入ってくる光が乱反射するようになり、眩しさを感じやすくなります。

屋外では太陽光、特に西日がとても眩しく感じるケースが多いです。

夜間の街灯や車のヘッドライトも眩しく感じやすいです。

車の運転をよくされる方は自覚しやすくなります。

 

糖尿病の持病がある

糖尿病を罹患している方は、白内障の発症スピードが早い傾向にあります。

糖尿病により高血糖状態が続くと、水晶体内に糖の一種(ソルピドール)が蓄積され、白内障の進行を早めると考えられています。

糖尿病は血糖コントロールが何より重要です。

放っておくと非常に怖い病気ですので、糖尿病と診断された方は治療や対策をきちんと行うことを強くお勧めします。

 

ステロイド薬の使用・服用をしている

白内障の中には、薬物白内障があり、その中でもステロイド白内障が有名です。

副腎皮質ホルモン(ステロイド)の長期にわたる全身投与で、後嚢下(水晶体を包むカプセル)に皿状の混濁を示す白内障が現れるのが特徴です。

膠原病などで長期的にステロイドを投与されている場合には、特に注意が必要です。

 

みなさんはいくつ当てはまったでしょうか?

該当する症状が多かった方は、1度眼科へ受診されることをお勧めします。

痛みを伴うような検査はありませんので、どうぞ安心してお越しください。