ここでは、水晶体の混濁部位による白内障の分類について解説していきます。
まずは、水晶体の構造について見ていきましょう。
水晶体は、水晶体嚢、水晶体皮質、水晶体核から構成されています。
水晶体嚢は透明なカプセルであり、その前面を前嚢、後面を後嚢と呼びます。
水晶体の中心のやや硬い部分を核といい、25歳を過ぎる頃から硬くなっていき、水晶体核が形成されます。
その水晶体核の周りで水晶体嚢との間の部分を水晶体皮質と呼びます。
核白内障
水晶体核の部分が混濁するタイプの白内障です。
もともと核の部分は皮質と比べて硬いですが、核白内障になるとますます硬くなっていきます。
色合いは徐々に黄色味が増していくのが特徴です。
進行は比較的ゆっくりで、視力低下を自覚するまで時間がかかることが多いです。
水晶体核が硬化することで屈折に変化が起こり、近視化する傾向があります。
これにより「老眼が治った」と勘違いしてしまうケースがあるようです。
白内障があってもおかしくない年齢の方で、眼鏡やコンタクトの度数が変わった方は1度眼科受診されることをオススメします。
核が黄色く変色することで、見る世界が黄色っぽく霞んで見えますが、徐々に進行することで慣れてしまい、本人は気付いていないケースも多いです。
皮質白内障
水晶体皮質の部分が混濁するタイプの白内障です。
加齢性白内障の中で最も多い白内障です。
皮質の周辺部から混濁が始まるため、初期の頃は散瞳して周辺部を確認しないと発症を認められません。
混濁が中心付近に迫ってくると、光を眩しく感じたり、霞んで見えたりと、自覚症状が出てきます。
視力が良好でも、眩しさや霞みで見にくさを訴えるケースが多くなります。
特に水平方向からの光に弱い傾向があります。
後嚢下白内障
水晶体後嚢の部分が混濁するタイプの白内障です。
発症率は核白内障、皮質白内障と比べると少ないですが、1度発症すると進行が早いケースが多く、視力低下に至るまでのスピードも早いです。
後嚢中央部から濁り始めるため、発症後早期に影響が現れ、強い眩しさ、急激な視力低下を自覚します。
後嚢下白内障は、加齢白内障だけでなく、アトピー性白内障、ステロイド白内障でも発症します。
核白内障や皮質白内障の手術では、水晶体落下防止のため、あえて後嚢を残して手術を終えるのですが、数ヶ月~数年後に後嚢が混濁することがあり、これを後発白内障と呼びます。
後発白内障に伴う後嚢混濁は、レーザーにて簡単に処置することができます。
前嚢下白内障
水晶体前嚢の部分が混濁するタイプの白内障です。
前嚢下白内障の発症頻度は少なく、アトピー性白内障の方に見られます。
眩しさを感じ、明るい場所で見にくさを感じることが多くなります。