多焦点眼内レンズのデメリットを払拭するレンズが登場!?

多焦点眼内レンズは、文字通り「多くの焦点をもつ」眼内レンズであり、白内障手術後の眼鏡依存率を下げることが可能な眼内レンズです。

せっかく白内障手術をするなら、裸眼で遠方、中間、近方が見え、眼鏡の煩わしさから解放されたいという方に好適です。

眼内レンズの種類は?

しかし、多焦点眼内レンズにもデメリットがあり、通常の単焦点眼内レンズと比較すると、ハロー・グレアを生じやすく、コントラスト感度も低下しやすい傾向にありました。

なぜ多焦点眼内レンズはハロー・グレアを生じるのか?

今回、ご紹介するアルコン社「Clareon® Vivity®」は、多焦点眼内レンズのデメリットであるハロー・グレアとコントラスト感度低下を軽減させた多焦点眼内レンズです。

 

Clareon® Vivity®の特徴

Clareon® Vivity®は、アルコン社独自の波面制御テクノロジーを搭載した、焦点深度拡張眼内レンズです。

波面制御とは、独自の波面制御領域により、波面を引き伸ばしシフトさせることで、連続的に拡張された焦点を創り出します。

「連続的に」が重要であって、今までの回折型のレンズ(従来の多焦点眼内レンズ)では断続的に「遠・中・近・遠・中・近」と光が集められていました。

Clareon® Vivity®の波面制御テクノロジーでは、遠方から実用的近方距離まで波面を分割することなく引き伸ばすことで、より自然な見え方が期待できます。

ただし、遠方、中間に比べて、近方の見え方(視力値)はやや弱くなる傾向があります。

 

(日本アルコン株式会社様よりご提供)

遠方から中間、そして実用的近方距離まで、切れ目のない見え方を実現しています。

焦点深度拡張技術を用いた多焦点眼内レンズは、他にも複数ありますが、Clareon® Vivity®は波面制御技術により、焦点を拡張させています。

焦点深度拡張型レンズ(EDOF)とは

 

夜間運転の大敵!ハロー・グレアが消える!?

多焦点眼内レンズのデメリットの1つであるハロー・グレアは、夜間運転の大敵でした。

対向車のヘッドライト、先行車のブレーキランプ、街のネオンライト。

これらの光が異常に眩しく感じられることから、昼夜問わず車を運転するアクティブユーザーに多焦点眼内レンズを挿入する際は、偏光眼鏡の装用が必要でした。

Clareon® Vivity®は、レンズ表面に波面制御を行っていることにより、ハロー・グレアが大幅に軽減されています。

もともと、焦点深度拡張技術を用いた多焦点眼内レンズは、従来の回折型、屈折型と比較するとハロー・グレアは少なくなっていましたが、Clareon® Vivity®の波面制御テクノロジーにより、単焦点眼内レンズ同等のほぼ皆無に近いハロー・グレアとなっています。

釣りやスキーなどの光の照り返しが強い活動にも向いていると言えます。

(日本アルコン株式会社様よりご提供)

 

高コントラスト感度でシャープな見え方を実現!

多焦点眼内レンズは、1枚のレンズで遠方、(中間)、近方に光を振り分ける複雑な構造をしているため、コントラスト感度の低下というデメリットがありました。

コントラスト感度低下は、焦点は合っているけどなんとなく鮮明さに欠けたり、少しぼやけると感じたり、見え方の質に影響が出ることがありました。

Clareon® Vivity®は、このコントラスト感度が単焦点眼内レンズ同等に高く、見え方の質が高い多焦点眼内レンズと言われています。

遠方、中間、そして実用的近方距離まで切れ目なく見え(遠方・中間と比べると近方は弱い傾向)、かつ高コントラストな見え方を実現しています。

ただ、2024/1現在では、度数の製作範囲が狭く、乱視用もないことから、適応は他の多焦点眼内レンズと比較すると、限られるようです。

この点は、今後に期待しましょう。

 

まとめ

多焦点眼内レンズのデメリットに、ハロー・グレア、コントラスト感度低下があります。

Clareon® Vivity®は、波面制御による焦点深度拡張技術により、単焦点眼内レンズ同等のハロー・グレアの軽減、高コントラスト感度を実現しています。

多焦点眼内レンズに興味があったけど、「車をよく運転するのでハロー・グレアが心配だった」そんな方に選択肢が広がる多焦点眼内レンズの登場です。